Chapter 58. 「経営に向いてない男」自分自身に問いかける。元不良が描いた教育の夢の続き。
夏休みが近づき、世間の動きも活発になる。しかし、学びは日々変わるものでは無く、日々の小さな積み重ねがやがて大きな力となる。
学習塾経営はお祭りごとではない。
一時のパフォーマンスで生徒を集めるのが目的では無く、今、目の前の生徒に日々向き合い続けるのが宿命であると思っている。
何があろうが、どんな形でも教育が自分の夢であり、生きる道だと信じて続けている。
生徒が全員帰り静まりかえった教室で一人、PCを開いて思う。
「夏だし、新規生徒募集の広告を書かなきゃいけない」と、、
お金を稼ぎ生きるためには、仕事として当たり前にやらねばならない。
綺麗な言葉を書いて、どんな言葉がマーケティング効果があるのか、そんな事を考えている自分に無性に苛立ちを覚える。そして前回折込に入れたチラシは正直なところ、綺麗に作りすぎたと反省している。もっと泥臭い自分らしいものを書けば良かったが悔やんでいる時間はない。
PCの目の前に座り、4時間、ついに手が止まり自分への苛立ちが湧き上がり、自分の信念が自分に問いかける。
魅力的な言葉で客寄せをして「作り笑顔と教育者らしい言葉」でお金を稼ぐ、お前がやりたい教育はそれだったのか?結局、お前にとって教育事業は「お金を稼ぐための事業だったのか?」
確かに生きていく上でお金を稼がなければいけない。稼ぐことも重要だが、初心はそうじゃないはずだろうと、広告のために書いた記事をもう一度見直して、消すと決めた。
俺は弱い。こんな調子じゃいつまで経っても経済的に独立できず、女性の一人も守ることができないで、一生独身だろう、。
しかし、こんな宣伝文句に何時間も使っている暇があるなら、もっと多くの生徒の記事を書けば良かった。生徒が本気で向き合っている時間をもっと真剣に考えて、書き残す方がもっと価値がある。
反省。
遠くから花火の音が聞こえてくる、北海道の短い夏が始まった。
明日も朝一から授業、最高な時間を作ろう。

