Chapter 62.「夏の終わり。」「札幌市清田区学習塾・英会話・英検対策・英語教室」
夏休みも終わりに近づいた日曜日のAM:9:20. お盆が明けて通常通りの授業が始まった。
時間を巻き戻し本日のAM:8:30. 久しぶりにバイクにまたがりエンジンをかけた.、すっかりなまってしまった感覚を取り戻すようにバイクのエンジン音が胸に響く、「あ〜。懐かしい匂い、懐かしいエンジンの響き、、。」今のあいつら(生徒たち)にはわからないだろうな〜、青春をバイクで駆け巡った平成時代。携帯電話がまだプリペイド式だった時代、好きな女の子の家に電話をしたらおじいちゃんが電話に出た緊張感なんて思い出しながら、バイクにまたがる。私が中学生の頃、バイクは不良少年の憧れであった。
さらに時間は遡り、今年の7月。
親父から電話が鳴った。
「お〜、お前、生きてるのか? バイク譲ってくれるっていってる若い兄ちゃんがいるけどどうする〜?」一瞬訳がわからなかった。バイク?、懐かしいな、、。そういえば乗ってたな〜と思い出す、、。
バイクは最初に卒業した生徒に譲ってから長らく遠ざかっていた。
少しの沈黙の後で、「久しぶりに乗りたいな〜」という心の声が出た。
今回、私にバイクを譲ってくれたお兄ちゃんは千葉出身の26歳の青年。
親父の会社の後輩である。今はゴッツイ大型1700ccのバイクに乗っている。
バイクを譲ってくれた彼は、小学時代からラグビーに明け暮れて、大学生までラグビー一筋、そして教員を目指した。中高時代は千葉で多少ヤンチャをしたが、熱い恩師・先生に出会い、何か悪さをした時に自分のために他の先生方に土下座までしてくれる先生を見て体育の先生になりたいと思い大学に進学。その後、大学で紆余曲折があり、卒業後、教師ではなく民間に就職をして社会人になって北海道にきた彼は、体育会系出身の持ち前の明るさを生かして営業マンになり、若くしてとびきりの笑顔と愛想で誰にでも好かれた、しかし、昔ながらのやり方や社風を押し通す職場の上司に嫌気が差していたときに、うちの親父に出会い相談に乗ってもらい気持ちが軽くなったらしい。高校ラグビーでは県大会2位まで行き、現役時代はデッドリフト200キロ超えを余裕で上げていた面影(体格)が今も残っている。体格はまるで熊だ、私の昔の血が騒ぐ、こいつと組んでやりあったら勝てないだろう笑そしてバイクを譲ってくれる話になった。
そして、一昨日、「いや〜、この時代に気持ち熱いね〜!!」もう一杯飲もうか!!なんて言いながら私と酒を酌み交わした。その晩はお互いすっかり酔っ払い、気絶するように眠った。
そして今日。久しぶりにバイクに乗って教室にきたが、生徒は何も言わない、興味も示さない、。
思わず自分から言う、、「そういえばさ〜、先生、今日バイクできたんだけど、どう?」「ほら!表にとまってるやつ!バイクカッコよくない?」、、。私の教え子で教室歴が一番長い生徒が笑顔で「先生、誰も興味ないって〜、てかバイクなんてわからないって〜」と言う。「そうか〜、いや、でも〜、、どう?カッコよくない?』と他の生徒に言うが目の前のプリントに集中している生徒に苦笑いをされて無視をされる、、。
「まあ、いっか」笑
その後、自分の授業が終了して、お手伝いのあおいちゃんが教室にくるがバイクには一切触れない、、。
そしてまた自分から言う、、「おっはよー!そういえばさ〜、先生、今日バイクできたんだけど、どう?」「ほら!表にとまってるやつ!バイクカッコよくない?」
「あ〜、はい」ポカーンとしたような返事が響き、諦めた。
俺はもう年だ、、、。古臭い男にもはやプライドなんてない、こうなりゃ「なまら〜だな〜!、とか。〜だべ〜、心配すんでねえ、」とか使って「北海道の古き良き時代みたいに生きてやる」なんて余計な事を思い始める、、。
そんな事を思ってPCを見ていると、私の教え子で教室歴の一番長い生徒が言う「先生〜、、そういえばお父さんとお母さんが来年沖縄に移住するから、今の中学の寮に入るか、沖縄についてくるか選べって言われた〜」と、、
一瞬訳がわからなかったが、こりゃ現実的にあり得る話かもしれないなと思った。
もう5年も生徒を見ているし、親御さんも知っている。
やるといったらやる親御さんだ、夢物語ではないだろう。
そして生徒の事を考える。 沖縄か、、確かに良い場所だ。青い海、ゆったりとした時間の流れ、最高の気候、人の暖かさ、誰もが住みたいと思う。しかし、数値上学力は全国でワースト、観光客にはわからない島ならではの人間関係もあるだろう、毎年荒れる成人式を見てわかるように不良も多いだろう。様々なことが脳裏をよぎる。
いや、それでも優秀な高校や大学はある、大学は内地に出ればいい。でも待てよ、せっかく北海道で中学受験までして私立の中学校に入学したんだ、これまでの本人の努力のモチベーションは?、、様々なことが頭の中を駆け巡る。答えは出ない、
ただ、私が言えることは一つ。「〜ちゃんのお父さんとお母さんは仕事を頑張って、老後ゆっくりと生活をするために沖縄に行くんだろう、しかし、〜ちゃんは学生だ。この先の自分の夢や目標のために今を本気で生きなければならない。親とは理由が違う。どうしようか?」
いろいろ言っても、決めるのは本人だ。
私は、その時が来るまで本気で笑顔で向き合っていく。
先生はいつでも、何があっても、どこにいても一生味方だから。
安心して羽ばたけ。