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Chapter 73.「東京へ羽ばたく。大切なものはいつも君の中にある。」

受験シーズンが終わり、教室に来なくなった生徒も数名、若干寂しいが、それでも時計の針は休まず動き続ける。

3月。平日の夜になると、教室のラジオからは卒業ソングが聞こえる。

卒業ソングが流れると、なぜか先ほどまで和気藹々としていた教室の雰囲気が切ない雰囲気に変わる。教室は学生が集い共に学ぶ小屋。生徒の年齢や学んでいる内容は違うが、全員がこの雰囲気と空気感を感じている。卒業シーズンってやつだ。

そして、先生たちもこの時期は毎年切ない気持ちになる。「今年も出会いと別れの季節がやってきた、、。」昨日まで通っていた生徒が1人、また1人と卒業していく。

今日は、この春、東京の大学進学を機に上京する男子生徒との思い出を綴りたい。

生徒は高校3年の夏、うちの教室の門を叩いて、英検取得を目指した。

英検に向けて私と一緒に英語のレッスンを重ねて生徒は希望の英検の級にすぐに合格を決めて、次は大学進学に向けて数学を受講した。

英語検定試験の前日、高校終わりの彼を学校へ迎えに行き、そのまま教室へ直行して一緒に勉強したのも懐かしい。

教室に向かう途中、セイコーマートに寄っておにぎりとチキンを買って、「食って、体力つけろよ!」なんて言って格好つけて、一緒に勉強した。「え!いいんですか?ありがとうございます!」と言って喜ぶ姿が嬉しかった。

そして英検に無事に合格した。

教室では一人一人の生徒が等しく大切であり、教育を行う上では決して1人の生徒を特別扱いなどはしない。それでも18歳の高校生サッカー部男子がなぜか弟のように思えた、。

なぜだろう、。私自身、中学で不良になる前はサッカー少年団上がりだったせいか、親近感が沸いたのかもしれない。

生徒は英検取得後も高校生活&サッカー部を終えてから教室に通い一番遅い時間の授業で学び続けていた。

彼は決して奢らない優しい性格のナイスガイ高校生男子。

彼の通っている高校には特進と普通科の2種類が存在し、彼は後者だった。

学校には難関と呼ばれる大学への推薦枠があるが、中学受験を突破して特進に入った生徒に優先的に枠が埋まってしまう。普通科から難関大学への推薦獲得の道のりはほんの一握り程度。同じ学校の中に2つのヒエラルキーが存在して、偏差値という名の下に目に見えない格差のようなものが存在していた。

彼は言った。「先生、僕は普通科の中でも一番頭の悪いクラスなんです、、。」

私は言った。『そっか、、』「でも大丈夫。」「絶対に大丈夫。」「やってやろうぜ!」

正直なところ、彼を難関と呼ばれる大学へちゃんと進学させてあげることができるのか、自信はなかった。

それでも、「頑張ります!」と真っ直ぐな目でやる気になった生徒。目の前にいる生徒。先生としてどうにかするしかない。

これで万が一、彼が望む大学への道が断たれたら、、様々な思いが頭を過ぎる、、。でもやるしかない、今、共に本気になるしかない。万が一があったら、土下座をして保護者さまへ詫びるしかない。教育を、この仕事を始めた時から腹はくくっている。

それから、毎週一番遅い時間に来て、数学担当のユー先生も授業時間関係なしに延長に延長を重ねて一緒に遅くまで勉強した。遅い時は23:00頃まで粘った。

わからない所を、「え、わからない、なんでと?」と食い下がる生徒

「これは〜で〜だからこうなると」熱心に話すユー先生。

2人を見ていて気持ちが高まった。勉強を通して生徒と先生が本気でぶつかり合っている。

本来、教育はこうあるべきだ。

私は、そんな2人の授業を見て、2人とも遅い時間で腹へっただろうななんて考え、

貧乏先生なりになんか差し入れをと思い、ポケットの小銭を数えて、近くのマクドナルドに向かった。マックのチーズバーガーとナゲットを買って教室に戻り、授業の合間に「一旦休憩入れて、食おうぜ!」と言って、学校生活や部活の話を聞く。

あの時のチーズバーガーの味を、共に過ごした時間を、先生は絶対に忘れない。

その後、彼は難関私大、GMARCHと呼ばれる法政大学への入学切符を手に入れた。

ある日、生徒から「先生、大学合格しました。」と報告を受けた時、涙が込み上げて、人生で初めて生徒の前で泣いてしまうと思って、思いっきり歯を食いしばった。生徒は嬉しそうに私の顔を見て、「先生、ありがとうございます!」と言った。

「こちらこそ、ありがとう。」私は本当に嬉しかった。それを聞いたユー先生も泣いていた。

彼との思い出には上記の文面には計り知れないほどの様々な出来事があった。そして学習塾の先生としての責任が私たちにあった。

そして、わずか一握りの推薦枠を無事にその手に獲得し、壁を乗り越えて、彼の成長した姿を見て、嬉しくなった。

その後、大学進学を決めてからも、彼は持ち前の優しさを生かし続けた。

大学進学が決まり、教室のキッズスクールの英語の授業の手伝いを行い、生徒からも好かれ、最近では幼稚園児の生徒からプレゼントで名前入りのペンを貰った姿も微笑ましい。

彼は、来週上京する。

先生(私は)はずっとここにいる。

「GW、長期休みは必ず顔出します!」と言う彼がたくましい。

今日、上京前に最後の握手をした。

「行ってこい!」

お前の青春はここから始まるんだ!

羽ばたけ世界へ。

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