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Chapter 74.「お前の良さは化粧の上手さや爪の長さでは無い、その真っ直ぐな瞳で自分に嘘をつかないで3年間本気でやってみろ。」

2024年、冬。1人の女子中学生が無料体験に来た。

母親と共にやってきた女子生徒は口数が少ない。

希望の進路は清田高校グローバル課程。しかし、生徒の英語はそこまで上手とは言えない。

基礎はあるが、応用が出来ない。

生徒の希望の進路である清田高校グローバル課程は入試の際に英語の点数が2倍で換算される。

英語の点数は取って当たり前の学部、これを取れなかった場合は他の生徒に倍の差をつけられる。

私の読みでは、他4教科は普通レベルだが英語は超得意ちゃん達が集って来るだろうと推測した。

生徒とは無料体験前の顔合わせで簡単なヒアリングを終えて、無料体験の授業を行う最中で生徒の英語力を探る。

英語のSVOCもわからない生徒、おいおい大丈夫かよ、、受験まであと2ヶ月だぞ、、

さて、どうしようかといろんな思いが頭をよぎった。

受験2ヶ月前の学習塾駆け込みはリスクが大きい。

学習塾は民間企業だから、生徒が増えて授業数が増えれば儲かると思われるかもしれないが、こっちは信用商売。何年も食えない思いをしながら耐え忍び、ここ最近になってようやく少しずつ生徒の結果を自信を持って言えるようになった。

ただ稼げばいい、そんな思いで学習塾はやっていない。

受験2ヶ月前、正直なところ申し訳ないが、入塾を断る選択肢が頭を過った。

こんな事を言うと、上から目線に聞こえてしまうかもしれないが、最後は生徒のやる気を見て判断しようと考えた。

正直、今の学生は表情や受け答えでやる気を判断するのは難しい。

マスクをした生徒。目を真剣に見せても口元で笑っている可能性もある。

さてどうするか、、。いろんな思いが頭を過ぎる、、

無料体験を終えて生徒と母親と向き合った

母親は言う、「先生、ありがとうございます。」

私「いえいえ、このままでは受かんないですね。」

嘘は言えない、生徒の顔を見る。

すかさず、私は生徒に問いかける「なんで看護師になりたいのかな?部活や委員会は何をしてきたの?」

生徒は答える「母親が看護師だから私も母のようになりたい。剣道をずっとやってきました。委員会は体育委員です。」

”母のようになりたい。剣道を続けてきた。”

この二つの言葉が私の胸に響いた。

家族へのリスペクト、根性はあるじゃないか。

「わかった。あとはお母さんと決めな、今日は帰ってゆっくり休めよ。」

そう言って、無料体験は終わった。

母親は私に深々と頭を下げて帰った。

その後、母親から入塾をお願いしますとの連絡が入り、

「わかりました。」と受け入れることにした。

入塾後の初授業、無料体験の時に見せた目元とは明らかに違う生徒が目の前にいる。

アイラインをバッチリに決めた生徒が教室にやってきた。

他の女子生徒は「可愛い〜上手〜!」なんて言って盛り上がっているが、

私は心の中で思う、「なめてんのか?」

お前の母親が俺にどんな思いで頭を下げて、「先生お願いします。」と言ったと思ってんだ?

化粧をして爪に光沢を出してる暇があんなら本気で勉強すれ。

ただ、剣道を続けてきた根性は認めてやる。そんな思いで授業が始まった。

受験まで2ヶ月しかない、最初は私から先手の小手調べから始まる。

さて、どのくらいの根性があんのか先生に示してみろ。

授業は主に公立高校の過去問を行い、間違えた箇所を分析して基礎から教え込む作業。

授業後初の課題は1週間でプリント100枚超えの超特訓。

これで根を上げて塾を辞めます。と言われるならそこまで。

あとは、生徒の根性にかけてみよう、そう決めた。

1週間後、相変わらずマスクで口元を隠し、目元の化粧はバッチリの生徒が宿題を全部終わらせて持ってきた。

「やるじゃねえか。」

剣道をやってきただけあって根性は座っていると確信した。

中学生が化粧なんてしてけしからん!と言う大人が世の中には一定数いるかもしれないが、私はそれはそれでいいと思っている。思春期の自己表現の一種だ。しかし、受験間近だということは忘れてはいけない。面接官の中には化粧や長い爪を見て良い印象を抱かない人間もいるだろう。

だからこそ生徒と向き合い、私はあえて何も言わなかった。しっかりと出された課題に向き合いやることさえやればいい。あとは本番勝負だ。その本番に私の言葉を響かせられたらいい。

何度も授業を重ねて、生徒とは授業中に本気で言い合った事もある。

英語面接試験の練習の際の出来事だった。

面接が刻一刻と近づき思うように受け答えが出来ず、自分に苛立ち、やり場のない怒りを先生(私)に向ける生徒。

私は言う。「それは何回も教えてる、ちゃんと覚えてこない自分の結果だろ!ふざけんのも大概にすれよ?」

生徒は黙り、私を睨みつけてくる。思いっきり睨んでくるから、私も本気で向き合う。

「そんなに英語で答えれなくて悔しいなら、なんで本気でやらねえんだ?」

生徒は言う「だって、わからないものはわからないじゃないですか!」

生徒はきれて、私を睨みつけている。

そして、私の堪忍袋の緒が切れた。

「ふざけんなよ、お前は受験生だろ、わからないから答えられません?そんな面接がどこにあるんだ?」

生徒は言う。「だって、、わからないものは答える必要がないじゃん!」

私は言った。「ふざけんな、誰もが必死になってこの試験にかけて練習してくるんだ!英語の質問がわからないから私は答えませんですませんのか?お前は舐めてんのか?」

生徒は言う。「落ちてもいいんです。普通科に受かる可能性もあるから。」

私は言った。「ふざけんなよ、この野郎、お前がグローバルに行きたいって言って教室に入ったんだろ。この場から逃げるのか?あ?俺は絶対に許さないからな。」

教室の空気が一気に重くなるがうちの生徒達はなれたもんで、他の生徒が生徒に慰めの言葉をかける。

毎度の事だが、女子生徒との睨み合いは神経を使う、、。

その点では男子生徒は気持ちが優しい。

そして、その後も真剣勝負が続き、不安を残したまま

試験3日前を迎えた。

不思議なことだが試験1週間前くらいから、女子生徒は私の言葉の全てを優しい眼差しで聞くようになった。

「ちゃんと爪きれよ、試験本番はすっぴんでいけよ。大丈夫、受かる。」そんな言葉をかけた。

そして、生徒は今までには見せなかった優しさと本音を見せるようになった。

授業最後の日、生徒から言われた。

先生、私の受験番号を教えます。

私は言った。「ば〜か、自分で報告しにこいよ!ここで待ってから。」

生徒は言う「でも、、恥ずかしいからラインでいいですか?先生。」

私は言う「馬鹿野郎、自分の足で報告しに来い!」

そして、昨日

生徒は合格した。

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