
Chapter 78. 祖母が救急車で運ばれた日。
出会いと別れは、いつも突然やってくる。
準備なんて、できた試しがない。
昨夜、ばあちゃんが救急車で運ばれた。
母からの短い電話。心臓がドクンと跳ねた。
生きててくれ、って、こんなに強く思ったのは久しぶりだった。
そういえば、少し前に母から、
「ばあちゃん、最近、癌で体調が良くないみたい」って聞いていた。
でもどこかで、「まだ大丈夫だろう」と思っていた自分がいた。
会える時間はたくさんあると、勝手に信じてた。
思えば、最近は年に一度しか会えてなかった。
「元気でね」って言葉の重みを、いつからか軽く扱ってた気がする。
ばあちゃんは、
俺と姉にとって、最後の祖父母。
母にとって、たった一人の母親。
親父にとっては、遠慮がちだけど大切にしてきた義母。
姪にとっては、北海道の遠くにいる、唯一の曽祖母。
そう考えると、ばあちゃんという一人の存在が、
何人もの人生の中に、特別な形で居場所を持ってるんだって、改めて思った。
人と人が出会う確率って、ものすごく小さいらしい。
80億人の中で、出会える人はせいぜい数万人。
それって、0.00025%にも満たない。
さらにその中で、心から大切に思える人に出会える確率は……ほとんど、奇跡だ。
そんな奇跡が、目の前にいたんだな。
お茶を淹れてくれて、「おっきくなったな〜、彼女いないんか?」って笑う人。
俺はいつも「変わんないよ、婆ちゃん、俺はもう30だぞ、彼女は相変わらず出来ないは」って、照れ隠しに笑って返してた。
ばあちゃん、まだ死ぬなよ。
また、他愛のない話を、しよう。
ちゃんと、「ありがとう」って言えるまで。
いろんな気持ちを抱えながら、それでも生徒と一緒に歩むのが先生だろって自分に言い聞かせて。
今週末の英検乗り切るまで頑張ろう💪
生きてれば、悲しいとか苦しいとか、嬉しいとか楽しいとかいろんな経験をする。
さあ、頑張ろうぜ!!

